ショパン・フェスティバルのランチタイムコンサートシリーズ、今回は川崎翔子さんが出演されました。チケットは完売という人気ぶりで、あいにくの雨にも関わらず、超満員のお客様が聴きにいらしていました。
この日のプログラムのテーマは、ショパンの魅力の1つである「華」とのこと。それにふさわしく、1曲目には《華麗なる変奏曲 変ロ長調》Op.
12が演奏されました。各変奏ごとに多彩な色合いを見せ、軽やかなタッチから生まれるまさしく「華麗な」演奏でした。
そして、ショパンの練習曲を3曲連続で演奏されました。Op.
25-1は、終始非常に美しい弱音で、まるで夢の中のように響いていました。続くOp.
25-2は、時折左手の音も際立たせるなど、立体的に工夫された演奏でした。そしてOp.
10-12「革命」は、力強く芯の通った解釈で、祖国に対するショパンの熱い思いのほとばしりがそのまま伝わってくるようでした。
続いて、《ワルツ》Op.
34-3「華麗なる円舞曲」です。絶妙なワルツのリズム感と、輝かしい旋律の歌わせ方は、実に見事でした。
ショパンの作品の最後は、《バラード第1番 ト短調》Op.
23です。ここでも音色の美しさが光り、華やかな中にも深みのある素晴らしい演奏で聴衆を魅了していました。
このショパンの「華」が、ポーランドの後世の作曲家にどのように受け継がれたのか、ということをモシュコフスキとシマノフスキの作品から聴かせてくださいました。
モシュコフスキ《火花》Op.
36-6は、華やかでヴィルトゥオーソ的な作品で、川?さんの高度なテクニックが存分に発揮されていました。
そして最後に演奏されたのは、シマノフスキ《変奏曲 変ロ短調》Op.
3。様々な性格を持った各変奏は、大きなフレーズと美しい和声で展開されました。
素敵な時間は、あっという間に過ぎてしまうものです。プログラムの終了後、会場からは盛大な拍手が送られ、アンコールとしてショパン《練習曲》Op.
10-3「別れの曲」が演奏されました。素晴らしい音楽に満たされた昼のひとときに、お客様も大満足だったようです。
(M.K.)