ショパン・フェスティバルは第2日を迎え、ランチタイムには若手ピアニスト小林有沙さんのコンサートがありました。お昼の小1時間をワンコインで聴けるというとてもお手ごろなこのコンサート。会場はたくさんの方のご来場でにぎわいました。
プログラムはショパンを3曲と、ショパンに影響を受けた2人の作曲家としてリストとドビュッシー。プログラムの間にお話を交えて、客席との距離の近いコンサートでした。冒頭のショパンのバラード第3番では、完璧なタッチと綿密な音楽作りでこれからリサイタルが始まるかのようなスケールの大きさを演出しました。スケルツォ第1番ではほとばしる熱い情熱が鍵盤とピアノの蓋の内側からぽろぽろとあふれ出てくるかのようで、客席は圧倒されながらも感情が渦巻くショパンの世界に没頭していきました。
リストのバラードにもショパン的な渦巻きがある一方で、その後に天国的な至福がやってきます。そのストーリー性のなかで、小林さんの徹底した音色作りが客席を魅了しました。ドビュッシーの喜びの島では、ショパン、リストとはまた異なる色彩感のなかで美しい音模様を聴かせてくださいました。最後には大きな拍手で送られた小林さんの、ランチタイムにはもったいない演奏でした。今後の演奏スケジュールに要注目です。
(T.)