ショパン・フェスティバル 2012 in
表参道〉も5日目を迎え、残すところわずかとなりました。6月1日(金)、ランチタイムコンサートのピアニストは、東京藝術大学大学院を修了された大田佳弘さんでした。
前半は共演者の和田萌子さんとの連弾プログラムで、ドビュッシー《小組曲》より第1曲〈小舟〉、第3曲〈メヌエット〉、第4曲〈バレエ〉と、ショパン《4手のための変奏曲》KK.
IVa/6を聴かせて下さいました。和声の移り変わりを映し出したニュアンスの変化や、フレーズの終わり方、変奏曲間での間(ま)の取り方など、随所に上品さや洒落っ気を感じさせる演奏でした。
後半は大田さんによるソロで、ショパンの傑作が並びました。《舟歌》op.
60、《子守唄》op. 57、《バラード 第4番》op.
52のいずれにおいても、曲の細部から全体まで的確に捉えられ、非常に説得力がありました。曲が本来持ち合わせている魅力と、大田さんの音に対する洗練された感覚、そして音楽に対する真摯な姿勢とが合わせ重なり、音楽の雄弁さ、その圧倒的な力を目の当たりにした時間でした。
大喝采に応え、アンコールはショパン=ゴドフスキー《左手のためのエチュード》op.
10-6でした。高度のテクニックを感じさせない大田さんのあまりの流暢さに、多くのお客様が大田さんの姿を覗き込みながら、聴いていらっしゃいました。今後のご活躍も楽しみです。
(A・H)