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小林 仁 レクチャーコンサート開催レポート
〜ショパン・こころの深奥・マズルカ〜
2013年5月27日(月) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

 

 今年もショパン・フェスティバルの季節がやってきました。初日5月27日(月)のイブニングコンサートは、日本ショパン協会会長の小林仁先生によるレクチャーコンサートでした。「ショパン・こころの深奥・マズルカ」と題し、小林先生はマズルカについての凝縮されたお話を挟みながら、24曲のマズルカを演奏して下さいました。

 ショパンのマズルカの創作時期は長きにわたり、ショパンは生涯を通してマズルカを作曲しています。何事も長い間のうちには変化が伴うものですが、ショパンのマズルカにも“変わらないもの”と“変化したもの”があるそうです。小林先生のお話によれば、保続音のような民族楽器の演奏を思わせる作曲法や教会旋法の使用などは、ショパンのマズルカに共通して見られる特徴で、つまり、“変わらないもの”に相当します。では、“変化したもの”は何だったのでしょうか。

 初期の特徴としては、民族的な要素が特に強く、後期になると民族的な要素に加えて、三部形式が複雑化し、対位法的な世界や幻想的な世界が色濃くなるそうです。このようなお話も、演奏を聴く上で非常に参考になりました。その他、ワルツとマズルカのリズムがどのように異なるのかなど、興味深いお話も取り上げて下さいました。

 さて、本日は作曲年代を追ったプログラム構成で、大きく5つの時期に区分されていました。まず最初は、「作品番号がついていない、もしくはショパンの死後、友人のフォンタナが作品番号をつけて出版した作品群」で、その中から演奏して下さったのは、op. 68-1、作品番号なし(イ短調、ノートル・タン)、op. 68-3、op. 67-3、作品番号なし(変ロ長調)の5曲でした。続いて2つ目の区分は「パリ時代」で、op. 6より1番(嬰ヘ短調)、2番(嬰ハ短調)、4番(変ホ短調)、op. 7より2番(イ短調)、3番(ヘ短調)、4番(変イ長調)、op. 17より2番(ホ短調)、4番(イ短調)、op. 24より1番(ト短調)、2番(ハ長調)、3番(変イ長調)の11曲を聴くことができました。

3つ目は「ジョルジュ・サンドとの邂逅」と区分され、op. 33より1番(嬰ト短調)、4番(ロ短調)を、「サンドとマヨルカに滞在」という4つ目の区分では、op. 41より2番(イ短調)、4番(変イ長調)を演奏して下さいました。そして最後の区分「晩年の作風の顕著な傑作群 パリ-ノアーン」ではop. 50-3、op. 56-2、op. 56-3、op. 63-3という選曲でした。

 ショパンのマズルカばかりでプログラミングされた演奏会というのも非常に珍しく、こうして24曲のマズルカを通して聴いてみると、1拍目よりも2、3拍目に重みがあったり、伸縮自在であるマズルカに特徴的なリズムを体感することができたように思います。        

                                   (A・H)

 


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