ショパン・フェスティバル2013 in
表参道、2日目ランチタイムの演奏者は、東京藝術大学大学院在学中のピアニスト、栗田奈々子さんです。本日のプログラムは「ショパン その心の移ろいを追って」と題し、初期から晩年までの様々なジャンルのショパン作品が年代順に取り上げられるというものでした。気鋭の若手音楽家のフレッシュな演奏をワンコインで楽しめるともあって、平日のお昼にもかかわらず、会場はあっという間に満員に。期待の高まる中、栗田さんが笑顔でステージに登場され、コンサートが始まりました。
最初に演奏されたのは《マズルカ イ短調 op.17-4》。ふわりと浮き漂うような旋律と、心のひだに寄り添うような濃やかな音づくりに、冒頭の数小節で一気に引きこまれました。つづく《スケルツォ
第1番 ロ短調 op.20》、《ワルツ 変イ長調 op.34-1「華麗なる円舞曲」》、《バラード 第3番 変イ長調 op.47》では、ショパンならではのピアニスティックな魅力を堪能。特にワルツでは、エレガントでありながら、内側から迸るようなのびやかな表現が印象的で、ピアニスト・ショパンの生きた19世紀パリの空気が蘇ってくるようでした。円熟の後期作品、《舟歌 嬰へ長調 op.60》と《ノクターン ロ長調 op.62-1》でプログラムが締めくくられた後、《英雄ポロネーズ》と《ノクターン 嬰ハ短調 遺作》の2曲がアンコールに演奏され、会場は温かい拍手に包まれました。
繊細さと華やかさを兼ね備えた栗田さんの素晴らしい演奏を通して、ショパンの珠玉の名曲に耳を傾け、短いながらも心潤う充実のひとときとなりました。
(N.J.)