ショパン・フェスティバル3日目。本日のランチタイムコンサートにご出演されたのは石川武蔵さんです。コンサートは、『連綿と受け継がれる詩』と題され、中間に≪4つのマズルカ≫Op.67を挟み、ショパンの≪バラード≫全曲を披露してくださいました。
≪バラード≫では、非常に繊細で洗練された音色と、メロディや和声、装飾的なパッセージが美しく表現されていたばかりでなく、まるで言葉を語っているかのように、自由で滑らかな音楽作りが印象的でした。作曲年代を追って、ショパンの語法が円熟して行く様子を見事に表現され、大変興味深かったです。
≪4つのマズルカ≫では、ポーランドの民族舞踏マズルカのリズムを活かしつつも、ショパンならではの旋律の美しさや、哀愁などが絶妙に表現されていました。まるでショパンの二度と帰ることのなかった祖国を想う気持ちが伝わってくるようでした。
鳴りやまない拍手にこたえ、アンコールは、ショパンの≪小犬のワルツ≫とラフマニノフ≪前奏曲
ト短調≫Op.23-5を演奏してくださいました。
短いひとときでしたが、ショパンの魅力が余すところなく表現されていた充実したコンサートでした。今後の更なるご活躍を期待しております。
(K.S)