日本ショパン協会 > ショパン・フェスティバル2013 in 表参道 > 宮谷理香 ピアノリサイタル > 開催レポート


宮谷理香 ピアノリサイタル 開催レポート
〜ショパンのFantaisie〜
2013年5月30日(木) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

 

 ショパン・フェスティバル4日目を迎える5月30日、ピアニスト宮谷理香さんのリサイタルが開催されました。リサイタルは、『ショパンのFantaisie』と題され、宮谷さんのトークを交えながら和やかに進行されました。

 満席の中、初夏らしいブルーのドレスで登場された宮谷さんが最初に演奏されたのは≪子守歌 変ニ長調≫Op.57と≪舟歌 嬰ヘ長調≫Op.60です。音楽が非常に滑らかに流れて行き、宝石を散りばめたように繊細で煌びやかな演奏に思わず魅了されました。

 以上2曲を弾き終えられたところで、宮谷さんがご挨拶を兼ねて、ご自身の体験談などを通して、本日のテーマについて解説してくださいました。Fantaisie(仏)とは、一般的に「幻想」という意味で知られていますが、フランス語では、このほかに「気まぐれな」、「風変りなデザイン」、「ひらめき」、「着想」など、様々な意味をもつ単語とのこと。その後のプログラムでも、ショパンのそして宮谷さんご自身のFantaisieが存分に表現されていきました。

 この後、Fantaisieの名をもつ2作品を披露してくださいました。1曲目の≪幻想即興曲≫Op.66では、閃光がきらめくような、鮮やかな演奏を展開され、2曲目の≪幻想ポロネーズ≫では、星空の下で静かに物思いに耽っているような、幻想的な演奏に聴衆の皆様はうっとりと聴き入っておられました。

 後半は、シルバーのドレスで登場され、バラード全曲を披露してくださいました。バラードの演奏に入る前に、宮谷さんは非常に興味深いお話をされました。三菱一号館美術館で開催されたクラークコレクション展にてルノワールの絵画を鑑賞し、作り手と向かい合ったと実感されたという体験から、ショパンのバラードも楽曲を通して叙事詩や作曲者の想いを感じられたとのこと。「人間の作った曲を人間が再現して、人間同士の時間が流れれば…。」と語られ、宮谷さんの作品に対する熱い想いが伝わってくるようでした。実際の演奏では、聴覚だけでなく、視覚や嗅覚などでも音楽が感じられ、実際に作品の世界に足を踏み入れたかのような不思議な感覚を味わい、強く印象に残りました。

 「ブラボー!」の歓声とともに盛大な拍手が贈られ、アンコールは、≪24の前奏曲≫Op.28より第7番と、第15番<雨だれ>を演奏してくださり、さらに客席を沸かせました。ショパンの作品に対する新たな発見が出来た素晴らしいリサイタルでした。

(K.S)

 


日本ショパン協会 > ショパン・フェスティバル2013 in 表参道 > 宮谷理香 ピアノリサイタル > 開催レポート