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楊 麗貞 ピアノリサイタル 開催レポート
鍵盤の詩人ショパン・カンタービレの世界
〜ショパンとの繋がりを持った作曲家を交えて〜
2013年6月1日(土) 17:00開演(16:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

 ショパン・フェスティバル最終日。夜のプログラムは、第39回日本ショパン協会賞授賞式と、第1回日本ショパン協会賞受賞者の楊麗貞さんのリサイタルが開催されました。

 リサイタルに先立ち、賞授賞式が行われました。今回受賞されたのは、辻井伸行さんと福間洸太朗さんです。当日、お二人は演奏会の都合で出席が叶わなかったため、エイベックス代表取締役 中島浩之社長と、福間さんのお母様でいらっしゃる福間裕子さんが代理で賞を受け取られました。

 続いて、楊麗貞さんのリサイタルです。今回は、『鍵盤の詩人ショパン・カンタービレの世界〜ショパンとのつながりを持った作曲家を交えて〜』という興味深いテーマのもとプログラムが構成されていました。

 前半は、ノクターンです。ここではショパンだけでなく、ノクターンを創始した作曲家フィールド、ショパンの影響を受けたフォーレとスクリャービンの作品も演奏してくださいました。フィールドのシンプルで愛らしい音楽からショパンが影響を受けて和声的にも内容的にもさらに発展させ、そして、フォーレと初期のスクリャービンの作品に色濃く影響を与えた様子が手に取るように感じられました。楊さんは、限りなく澄んだ音色で、ふんわりと香り立つような気品のある演奏でこれらの作品を美しく表現されていました。

 後半は、ショパンの名曲が並びました。ここでも、前半と同様に楊さんの繊細で気品の漂う演奏を堪能できました。最初の≪バラード第1番≫Op.23では、若々しさに溢れた情熱的な演奏を繰り広げられ、続く≪華麗なる円舞曲≫Op.34‐1では、サロンで楽しげに踊っている光景が目に浮かぶようでした。最後の≪ソナタ第3番≫Op.58では、知的で洗練された演奏で各楽章を巧みに表現されていき、まるでショパンの魅力が1曲に集約されているよう。第3楽章の静かに時が流れるような美しさと、終楽章での舞曲のような躍動感はとりわけ印象的でした。

 アンコールはワルツを2曲(Op.70-2とOp.42)演奏してくださり、拍手喝采のうちに締めくくられました。

 一週間にわたりショパンの「こころ」をキーワードにあらゆるテーマでの演奏会が開催された今年のショパン・フェスティバル。どの公演も大変個性的で、出演者のショパンに対する強い思い入れが感じられる素晴らしいものばかりでした。来年はどのような視点で開催されるのか、非常に楽しみです。

(K.S)

 


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