日本ショパン協会 > ショパン・フェスティバル2014 in 表参道 > 今田 篤 ランチタイム・コンサート > 開催レポート


今田 篤 ランチタイム・コンサート 開催レポート
〜心に秘めた熱き想い〜
2014年6月2日(月) 12:00開演(11:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

 

 本日のランチタイムコンサートは、ショパン・フェスティバルの一環ということで、若手ピアニストの今田篤さんがショパンの初期の作品を中心としたプログラムも披露されました。今田さんは現在、東京藝術大学の大学院で研鑽を積まれていますが、彼にとってショパンの作品は「小さい頃から練習していて身近だけれでも、同時にまだ近寄りがたい存在」とのこと。そのような初々しさの残る発言と、演奏している最中の落ち着いた姿とのギャップに、会場から思わず笑みのこぼれる瞬間もありました。

 今田さんの演奏の魅力は、繊細な音色と装飾の1つ1つまで意識の行き届いた、丁寧な音楽創りにあり、最初のプログラム<ロンド>から、さっそく会場をショパンの世界に誘っていらっしゃいました。そして今田さんの持ち味が特によく表れていたのは、今田さんご自身も「ぜひ聴いてほしい」と思い入れを語っていらっしゃいました<マズルカ風ロンド>でした。この曲は弾けるような明るさと胸に迫ってくるような哀愁の両方を持ち合わせていますが、今田さんはその両方を見事に表現されていました。また<2つのノクターン>でも、気品に溢れた音と激しい情熱を帯びた音を巧みに使い分けていらっしゃいました。一方<英雄ポロネーズ>や<スケルッツォ第2番>といった重厚なプログラムでは、力強い一面も見せつつも決して優雅さを失うことのない演奏で、会場を湧かせていらっしゃいました。

 アンコールでは、おそらくピアノをやっていらっしゃる方では有名な<黒鍵のエチュード>をさらりと演奏され、客席からは大きな拍手が起こりました。今田さんの今後のご活躍が楽しみとなる、大変素敵な1時間のショパン・プログラムでした。

(A. T.)

 


日本ショパン協会 > ショパン・フェスティバル2014 in 表参道 > 今田 篤 ランチタイム・コンサート > 開催レポート