毎年大好評を博しているショパンフェスティバルの季節がやって参りました。今年は、『ショパン
こころのうた』をテーマに、一週間にわたり様々な演奏会が催されます。初日の夜は、ピアニスト岡田将さんのリサイタルが開催され、たくさんのお客様でにぎわいました。今回は、『変奏におけるショパンの魅力』と題された聴きごたえのあるプログラムで迎えてくださいました。
全体を通して美しい音色と滑らかな躍動感のある演奏が大変印象的でした。最初は、《華麗なる変奏曲》Op.12と《変奏曲「パガニーニの思い出」》遺作の2曲です。オペラや声楽曲を愛していたショパンを思わせる、歌うような細やかな息づかいと、各変奏の特徴を捉えた豊かな演奏を聴かせてくださいました。続く、《3つのマズルカ》Op.50では、舞曲の性格を大切にされつつ、哀愁を帯び洗練された響きを絶妙に表現されていました。そして、《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》Op.22では、音楽を押し進めるようなエネルギーを感じ、輝きのある演奏を披露してくださいました。
後半は、《スケルツォ第2番》Op.31と《ピアノ・ソナタ第2番「葬送」》Op.35です。《スケルツォ第2番》では、渦を巻くように滑らかな歌いまわしと勢いのあるダイナミックな演奏を、《ピアノ・ソナタ第2番「葬送」》では、しっかりと構成された説得力のある演奏から、楽章全体を通してひとつの物語を聴いているようでした。
以上の演目を見事に演奏された岡田さんに、客席から盛大な拍手が贈られました。アンコールは、《ノクターン》Op.9-2、《華麗なる大円舞曲》、《英雄ポロネーズ》の3曲を披露してくださり、大変充実したリサイタルとなりました。
(K.S)