ショパンフェスティバル3日目のランチタイムコンサートにご出演されたのは、東京藝術大学に在学中の務川慧_さんです。プログラムは『光と陰のショパン〜その心の両極を探って〜』をテーマにショパンの持つ「二面性」(華やかで貴族的な面と孤独で内向的な面)が反映されている作品に焦点を当てられていました。演奏してくださった曲目は、《バラード第3番》Op.47、《ノクターン変ホ長調》Op.9-2、《ノクターンホ長調》Op.62-2、《ワルツ
ヘ長調》Op.34-3、《マズルカ イ短調》Op.17-4、《マズルカ
へ短調》Op.68-4、《幻想曲》Op.49、《英雄ポロネーズ》Op.53です。
《バラード第3番》では、洗練されていながらもどことなく陰りを帯びている演奏をされ、2曲のノクターンでは、どちらも6度音程の跳躍から始まる共通点を持ちながらも、二面性による対照的な性格を表現。サロンで即興的に弾いているように軽やかな《ワルツ
ヘ長調》を経て、2曲のマズルカと《幻想曲》では、内面が表現されたような複雑で味わい深い演奏を披露されました。最後の《英雄ポロネーズ》では、ダイナミックで勇ましい演奏で客席を魅了しました。
アンコールは、《2つのブーレ》と《エチード》Op.10-1を披露してくださいました。「数あるピアノ曲の中でショパンがダントツ好き」と仰っていた務川さん。ショパンの作品ならではの魅力を余すところなく表現してくださり、短いながらも充実したひとときとなりました。
(K.S)