ショパン・フェスティバル4日目のランチタイム・コンサートは、現在、昭和音楽大学2年在学中で、同大附属ピアノアートアカデミー在籍中の尾崎未空さんです。「ショパンと次世代の音楽家たち〜名曲とファンタジーから〜」と題して、ショパンの他に、ショパンを尊敬し、影響を受けたドビュッシーとスクリャービンの作品を取り上げました。
尾崎さんはこれまでに、第8回モスクワ・ショパン国際青少年コンクール第3位、及び最優秀小品演奏特別賞、第14回ショパン国際ピアノコンクール
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ASIAプロフェッショナル部門アジア大会金賞他、多くの受賞歴があります。コンサートでも、既にリトアニア国立響、ミネソタ管、クラクフ室内管、東京フィル等々と共演しています。
1曲目は、ショパンのワルツ 変イ長調
Op.34-1「華麗なる円舞曲」。ショパンのワルツの雰囲気がよく出ていて、華麗さも感じられた、ショパンの世界に引き込まれていく演奏でした。
次は前奏曲
Op.28から、第13番嬰ヘ長調、第14番変ホ短調、第15番変ニ長調「雨だれ」、第16番変ロ短調の4曲を続けて演奏しました。13番ではしっとりした感じ、「雨だれ」ではショパンの憂いが感じられ、16番では若い勢いのあるテンポで弾き切りました。
ショパン晩年の傑作の一つ、ポロネーズ
変イ長調
Op.61「幻想ポロネーズ」では、ショパンの置かれた心理的に苦しい状況下で作曲されたこの曲の夢幻的な雰囲気をよく表現していました。
そしてショパンの影響を受けた作曲家の一人目はドビュッシーです。ベルガマスク組曲から名曲「月の光」を演奏しましたが、最初のいくつかの音で、それまでのショパンの世界からドビュッシーの世界へと聴くものを導いてくれました。とても雰囲気を持ったピアニストです。
二人目はスクリャービン。ピアノ・ソナタ第2番
嬰ト短調
Op.19「幻想」です。作曲者が訪れたという南国の海の夜の静けさ(1楽章)と荒れ狂う波(2楽章)の対比が見事に表現されていました。
アンコールは再びショパンで、エチュード
Op.10-8を演奏し、会場から温かい大きな拍手を贈られました。また一人、楽しみな若手が登場しました。
(K.Y.)