6日間にわたって盛大に開催された「ショパン・フェスティバル2015
in
表参道」のフィナーレを飾るのは、「日本ショパンピアノコンクール2015 入賞者によるショパンのコンチェルト(弦楽六重奏版)!!」。この3月に開催された同コンクール(主催・日本ショパン協会)において、見事1位を受賞した實川
風さん、そして2位を受賞した阿見真依子さんが、お二人ともコンチェルトの第1番全楽章を演奏しました。そしてその他の曲目も、フェスティバルの最終に相応しく、オール・ショパン・プログラムです。会場は満員御礼の盛況でした。
共演はN響メンバーによる弦楽六重奏(ヴァイオリン:宇根京子さん、森田昌弘さん、ヴィオラ:飛澤浩人さん、横溝耕一さん、チェロ:向山佳絵子さん、コントラバス:矢内陽子さん)。日本ショパン協会会長で同コンクール審査員長である小林
仁先生の企画&編曲で、このコンサートが実現しました。
前半に登場したのが、阿見真依子さんです。阿見さんがピアノの前に座り、息を整えたところで、弦楽の厳かな調べ。コンチェルト第1番の前奏が、朗々と鳴り響きました。青春の息吹を感じさせる新鮮な第1楽章、触れれば壊れそうなくらいデリケートな美しさをたたえた第2楽章、軽やかさと弦楽との融合が際立った第3楽章。ピュアな美音に魅了されました。弦楽六重奏も素晴らしく、当然ですが、オーケストラの時よりもピアノの音が細部までよく聞こえるというのが、ピアノ・ファンにとってたまらない魅力です。
阿見さんはアンコールに、ワルツ第5番・変イ長調Op.42を演奏。優美でしなやかなワルツが、とても素敵でした。
後半は、實川
風さんです。最初は、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ・変ホ長調Op.22」で、これも弦楽六重奏との共演です。伸びやかなアンダンテ・スピアナートと、軽快なタッチのポロネーズ。心が清々しくなる、清涼感あふれる演奏でした。
そして、いよいよコンチェルト第1番。センチメンタルなメロディーが胸に迫ってきた第1楽章、詩情豊かな歌心に満ちた第2楽章、自由自在に空を駆けるように軽快な第3楽章……。力強さも兼ね備えていて、圧巻でした。
實川さんがアンコールに弾いた、エチュードOp.25-1「エオリアンハープ」の喩えようのない美しさ。その純粋な音色に会場は静まり返り、演奏が終わった途端、盛大な拍手が鳴り響きました。
たくさんの素晴らしいショパンに出会えた、「ショパン・フェスティバル2015
in 表参道」。また来年が楽しみです!
(H.A.)