日本ショパン協会 > ショパン・フェスティバル2016 in 表参道 > 小井土文哉 ランチタイムコンサート > 開催レポート


小井土文哉 ランチタイムコンサート 開催レポート
〜故郷への想い〜 嘆き、祈り、そして未来へ
2016年5月26日(木) 12:00開演(11:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

  

 連日、大変な賑わいを見せているショパン・フェスティバル。ランチタイムコンサートでは、若手ピアニストたちの熱演が繰り広げられています。本日ご出演されたのは、桐朋学園大学音楽学部3年に在学中の小井土文哉さんです。

 本日のプログラムのテーマは、『〜故郷への想い〜嘆き、祈り、そして未来へ』。ショパンのワルシャワ陥落に対する絶望、祖国への想いが伝わるような作品が集められ、非常に興味深く聴かせていただきました。

 最初は、ベートーヴェン《ピアノソナタ第23番へ短調「熱情」》Op.57です。音楽の方向性が明確な説得力のある演奏をされ、このソナタの持つ世界観がショパンの作品に秘められた憂いに通じるのではと感じつつ聴き入りました。

 続いて、メインとなるショパンの作品に入ります。《ノクターン変ニ長調》Op27-2では、美しい音色がふんわりと立ち昇るような演奏で、この曲の穏やかな中にもどこか陰りを帯びた表情を細やかに表現されていました。次は、練習曲Op.10-11、Op.25-1「エオリアンハープ」、Op.10-12「革命」の3曲が続けて披露されました。いずれも、旋律の持つ歌曲のように滑らかな息づかいを大切にされた丁寧な演奏でした。最後の《バラード第1番ト短調》Op.23では、オペラ的なドラマティックな表現が非常に印象的でした。

 客席からの盛大な拍手に応えられ、アンコールは、スクリャービンの練習曲をOp.42-5とOp.8-12の2曲を演奏してくださり、大変充実したコンサートとなりました。今後の更なるご活躍を期待しております。

(K.S)

 


日本ショパン協会 > ショパン・フェスティバル2016 in 表参道 > 小井土文哉 ランチタイムコンサート > 開催レポート