『ショパン・フェスティバル2018』のテーマは「前奏曲」。「前奏曲」をテーマとしたピアノ音楽に焦点を当てた、多彩なプログラムが繰り広げられます。
今年のフェスティバル冒頭5月28日のランチタイムコンサートは、福井敬介さんの出演となりました。
テーマは『プレリュードが奏でる幻想の世界』。幻想の世界を求めてのコンサートの幕開けは、ショパンの『24の前奏曲』から、op.28より第9、17、18、21番。堂々とした和音をたっぷり響かせて始まりました。低音から高音まで一つ一つの音を慈しむように紡いでいきます。
21番から続いて、前奏曲嬰ハ短調op.45へ。粒立ちの良い音で。そしてその雰囲気を保ったまま、ノクターン嬰ハ短調の遺作を演奏、憂いのある世界へと導きます。最後の和音の響きをゆっくり聴かせたあと、『3つのワルツ』op.34より2.イ短調と3.へ長調へ。高音部までよく鳴らしての演奏。
そして、ここで一息。ショパンと色合いの異なるスクリャービンの前奏曲ニ長調op.11-5、変イ長調op11-17、変ホ長調op.16-4、ハ長調op.33-3へ。まさに優美な幻想の世界へと進んでいきました。
続くラフマニノフは前奏曲ト長調op.32-5、幻想的小品集op.3-2前奏曲嬰ハ短調『鐘』。時にくぐもらせるような鐘の響きがホールいっぱいに。そしてリストの『巡礼の年
第2年「イタリア」よりソナタ風幻想曲〜ダンテを読んで』。情熱的に推進力たっぷりの演奏となりました。
各作曲家の作品の魅力を映し出すような、ストーリー性にあふれた秀逸なプログラミングを弾ききり、まさに「幻想の世界を見せた」福井さん。アンコールにスクリャービンの『アルバムの綴り』op.45ですうっと幻想の世界を閉じるようにコンサートを終えました。
(Y.A.)
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敬介ランチタイムコンサート