すっかりお馴染みになったカワイ表参道でのショパン・フェスティバルが今年も始まりました。第9回の今年のテーマは〜前奏曲(プレリュード)〜です。
2日目のランチタイムコンサートは、原嶋 唯さんです。現在桐朋学園大学大学院修士課程2年在学中の原嶋さんは、昨年の第1回Shigeru
Kawai国際ピアノコンクールで第3位になった実力の持ち主
で、2015年のこのフェスティバルでもピアノリサイタルを行っていますので、3年ぶりの登場です。
「憧れのショパン〜時代を辿って〜」と題した原嶋さんは、「若い時代の作品から晩年の作品まで、ショパンの魅力や特徴が伝わるプログラムを選びました」とプログラムに書いているように、作品18のワルツから作品60の「舟歌」まで、ショパンの作品の変遷を辿るような構成でした。
まず1曲目は、「ワルツ
変ホ長調Op.18『華麗なる大円舞曲』」。幕開けに相応しく、明るく軽快なリズムとテンポのワルツで、非常に多くの人に親しまれた名曲です。メリハリの利いた、聴き手も楽しくなる素敵な演奏でした。
続いて「4つのマズルカOp.24」から第2番
ハ長調と第4番
変ロ長調の2曲。1曲目の明るいワルツとは全く違う、どこか憂いを含んだポーランド独特の舞曲で、その特徴をよく掴んだ演奏でした。
ここで今回のテーマ「前奏曲」の登場です。「24の前奏曲Op.28」から7曲を選曲しました。第1、3、8、13、16、23、24番です。それぞれの曲の特徴や音楽の流れがよく考えられた、とてもうまい選曲だったと言えましょう。
続いては「スケルツォ 第2番
変ロ短調Op.31」。リズム感の良い、メリハリの利いた演奏で、音色に色彩を感じさせてくれました。
次は「バラード 第3番
変イ長調Op.47」。音楽が淀みなく流れ、聴き手を引き込んでいきます。
最後は「舟歌
嬰ヘ長調Op.60」。たゆたうようなリズムの中にゆったりと身を任せているような、安心感と心地よさを感じさせてくれました。
平日の昼間という時間のコンサートにもかかわらず、ほぼ満員の聴衆から温かく盛大な拍手に応えてのアンコールは、この日のプログラムで最も若い頃、まだポーランド時代の17歳の時に書かれた作品という「マズルカ風ロンド」。ショパンの若々しさが溢れた軽やかな作品でした。
強音でも鍵盤を叩かずに豊かな響きを出す原嶋さんのショパンには、聴き手を疲れさせない心地良さがあるようです。これが彼女のピアノの魅力でしょうか。
(K.Y.)
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ランチタイムコンサート