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太田 糸音 ランチタイムコンサート 開催レポート
〜プレリュードから始まる私の胎動〜
子どもの頃から始めたピアノは弾く喜びに加えて新たな音の連なりを私に届けてくれました。
18歳の胎動をお聴きください

2018年5月30日(水) 開演12:00 (開場11:30)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

 

 ランチタイムコンサート3日目は太田糸音(しおん)さんの登場です。太田さんは現在18歳。東京音楽大学付属高校を2年次で早期修了して、同大学ピアノ演奏家コース・エクセレンスに飛び級で進学し、特別特待奨学生として1年在学中だそうです。

 テーマは〜プレリュードから始まる私の胎動〜。プログラムはこのテーマどおり、前半にショパンとラフマニノフ、メシアンの前奏曲を取り上げました。

 まず最初にショパンの「24の前奏曲 Op.28」より、第17番 変イ長調と第20番 ハ短調の2曲を続けて演奏しました。演奏の後のトークで太田さんは「24曲の中でも、第17番は愛をイメージさせ、第20番は死を連想させる」とおっしゃいましたが、演奏は太田さんが抱いているイメージを充分に感じさせるものでした。

 次にラフマニノフの「幻想的小品集 Op.3」より第2番 前奏曲 嬰ハ短調『鐘』です。ラフマニノフが日々聴いていたというロシア正教の重厚な鐘の響きを、冒頭の重低音でよく表し、暗く思い雰囲気をしっかりと表現していました。

 続いてはメシアンの「前奏曲」より第1番『鳩』と第8番『風の中の反映』の2曲です。ラフマニノフの『鐘』の暗く重い世界から、メシアンの明るい世界への転換が実に見事でした。

 その後再びトークで、ショパンの人生が作品に大きく影響していると、ショパンの作品とその世界について語りました。

 後半の曲目は、ショパンの「幻想曲 ヘ短調 Op.49」、「バラード 第1番 ト短調 Op.23」、「バラード 第4番 ヘ短調 Op.52」の3曲でした。

 「幻想曲」では、暗い前半から終盤のドラマティックな展開まで、聴き手を惹き付ける好演奏でした。

 「バラード 第1番」では迫力を感じさせ、同「第4番」では一転して憂いを含みながら、メリハリの利いた素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

 万雷の拍手に応えてのアンコールに、パデレフスキの「作品集(ミセラネア)Op.16」から第2曲『メロディー』を演奏しました。

 全体を通して太田さんの「18歳の胎動」が感じられる、若さに溢れながらも落ち着きを感じさせる素敵な演奏でした。これから更にどのように育っていくのか、非常に楽しみなピアニストの登場です。

(K.Y.)

 

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