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岸 美奈子 ピアノリサイタル 開催レポート
プレリュードの綾 〜万華鏡〜
ドビュッシーが持つ豊かな色彩の、スクリャービンの幻想的且つ官能的な、
ショパンのエレガンスと悲しみの「綾」。
2018年6月1日(金) 開演18:30 (開場18:00)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

 

 ショパンの“前奏曲(プレリュード)”をテーマに、ピアニスト12名によるリサイタルを通じて作曲家を深く知ろうというコンサートシリーズ『ショパン・フェスティバル』。第5夜は、シリーズ初回である2010年公演にも出演された、岸美奈子さんのリサイタルです。岸さんは現在演奏活動の傍ら、武蔵野音楽大学・同大附属音楽教室で指導にもあたっています。

 独自に付けられた公演のタイトルは“プレリュードの綾〜万華鏡〜”。ショパン〈前奏曲Op.45〉〈即興曲第1〜4番〉、ドビュッシー《前奏曲集第1集》より〈アナカプリの丘〉〈西風の見たもの〉〈パックの踊り〉〈ミンストレル〉、そして後半はショパンとスクリャービンの《24の前奏曲》の抜粋で、「それぞれの作曲家の作品が織りなす万華鏡のようなプレリュードの綾」を表現されました。

 テーマである“前奏曲”は1曲1曲が比較的短いものも多く、その分作曲家のパーソナリティーが凝縮されているように思います。どの曲も特徴的な和声の響き、作曲語法など、音楽的な美しさを丁寧にすくい上げる演奏を聴かせました。特に後半に取り上げたショパンとスクリャービンの《24の前奏曲》は交互に演奏されたこともあり、調性ごとに色濃く表れる個性のコントラストを鮮明に感じ取れるものでした。

 満員の会場からの拍手に応えてショパンの〈ワルツ第9番〉と、〈マズルカ第5番〉の2曲をアンコールとして披露。終演後は、師事している岸さんに手渡そうと、花束を抱えた弟子がホワイエに向かう姿があり、あたたかな気分になりました。

(R.K.)

 

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