『ショパン・フェスティバル2018』最後のランチタイムコンサートとなった6月2日は、ピアニストアレクサンドラ・シフィグットさんのご登場です。シフィグットさんはショパンの出身地ポーランド生まれで、第47回ポーランド全国ショパン・ピアノコンクール第2位受賞を始め数々のコンクールで活躍しています。
演奏はシ今回のテーマでもある《前奏曲嬰ハ短調Op.45》で始まりました。切々と歌われ、音楽が立ち上ってくるようでした。次に演奏されたシフィグット作曲《ショパンの前奏曲(op28-4)の主題による即興曲》では和音の変化によるグラデーションが美しく、洗練された響きが作り出されていました。続くショパン作曲《4つのマズルカOp.33》はポーランドの色が濃く現れた舞踊的な曲で、その音楽の表情はピアノを弾いているというよりもステップを踏んでいるよう、そしてあたかも、華やかで優雅な社交の場にいるようでした。シマノフスカ作曲《ポロネーズ ヘ短調》とショパン作曲《ポロネーズ ヘ短調op.71-3》は同じ調でありながらも異なる雰囲気を持っており、前者の影のある趣深い雰とは打って変わり、後者の中間部の華やかな転調、柔らかな表情が心に響きます。
プログラムの最後に演奏されたのはショパン作曲《アンダンテ・アスピナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調op.22》。アンダンテ・アスピナートではたゆたう左手の上できらびやかで滑らかな右手の旋律、またすべての声部が性格を持っているように丁寧に演奏され雅やかでした。ポロネーズでは序奏のファンファーレに続いて華やかで技巧的な部分が現れます。ダイナミクスの幅にかかわらず常に気品のある粒の揃った音が、どの曲でも印象的でした。
アンコールには《舟歌op.60》を演奏され、満席の会場からは惜しみない拍手が送られました。ポーランド音楽の魅力を存分に堪能できたのではないでしょうか。優雅な昼のひとときをありがとうございました。
(W.T)
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ランチタイムコンサート