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飯田 茜 ランチタイムコンサート 開催レポート
〜日本とポーランド‐それぞれの歌と色彩〜

2019年5月30日(木) 開演12:00 (開場11:30)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」

  

 ショパン・フェスティバル4日目のランチタイムコンサートは、飯田 茜さんの登場です。飯田さんは都立芸術高校を経て武蔵野音楽大学卒業、同大大学院修士課程ヴィルトゥオーソコースを首席修了、クロイツァー賞を受賞。これまでにカワイ表参道ランチタイムコンサートほか、サントリーホール・デビューなどいろいろなコンサートに出演しています。

 飯田さんは、「日本とポーランド─それぞれの歌と色彩」と題して、箕作秋吉、平吉毅州という邦人作曲家と、シマノフスキ、ショパンというポーランドの作品を集めました。

 最初は、箕作秋吉の「花に因んだ3つのピアノ曲 Op.16」より《1. 夜の狂詩曲》です。きれいな響きで面白いリズムもある曲です。夜の花なのか、怪し気な雰囲気も感じさせました。

 次は平吉毅州のピアノ曲集「虹のリズム」より4曲。これは子どものためのピアノ曲集で、どれも短い曲ですが、素敵できれいな作品です。

 飯田さんは、この2人の作品を弾いた後、箕作の作品について「分かり易く、日本っぽい曲だと感じて」、平吉の作品については「ささやかで、内に秘めたものが日本らしいと感じて」選んだそうです。

 ポーランドの作品の最初は、シマノフスキの「20のマズルカ Op.50」より第1番、第2番、第6番の3曲です。実際に農民が踊っている土臭い感じを損なわないように描いた作品で、民族色の濃い独特なリズム、動きに特徴があり、ショパンのマズルカとは全く違った音楽です。

 続くショパンの「3つのマズルカ Op.59」は、シマノフスキとは違って祖国を懐かしんで書いた想い出であり、ショパン独特のメロディーで綴られる、土臭さを洗い落として洗練された感じです。特に第3番は3曲中で最も踊りを感じさせますが、やはり芸術的に昇華されています。

 飯田さんは2人のマズルカの特徴をよく理解して表現していました。

 そしてショパンの「ノクターン ホ長調 Op.62-2」で、晩年の哀愁、憂いの漂う感じをしっとりと表現し、最後の「ポロネーズ 変イ長調 Op.61《幻想ポロネーズ》」では、ショパンの胸

の内にあるジョルジュ・サンドとの不仲や自身の病状の悪化などの不安な心境、孤独の不安が渦巻く表現になりますが、それを打ち払う力強さもあります。その辺りをとても上手く表現していました。

 満員の聴衆からの大きな暖かい拍手に応えて、ショパンの「ノクターン 第17番 Op.62-1」をアンコールに演奏して終了しました。

(K.Y.)

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