ショパン・フェスティバルの一環として開催されました本日のランチタイムコンサートには、2016年にポーランド全国ショパン・コンクールを制覇したカミル・パホレツさんがご出演されました。ポーランド出身の気鋭の若手ピアニストの演奏を聴こうと、多くの方が集まりました。
パホレツさんが最初のプログラムに選びましたのは、日本人作曲家で繊細な楽曲を数多く残した武満徹の《ロマンス》冒頭からその繊細な音楽を充分体現した神秘的な音色に、会場は開演前の賑わいが嘘のように静まりました。
そしていよいよショパン作曲のプログラムが続きます。まず演奏されたのはショパンのエチュード集の中でも、エチュードとしては異彩を放つ旋律的な美しさを持った嬰ハ短調(作品25-7)の1曲。パホレツさんの美しい音色とセンスが非常に活きた演奏でした。続いてショパン特有のジャンルとも言えるマズルカが3曲。こちらもアクセントの効いたリズムに漂うショパンらしい哀愁がよく表現された演奏でした。次に演奏された《舟歌》はややそれまでのプログラムと雰囲気を異にする華々しさがありますが、こちらもパホレツさんは持ち前の技術と表現力で、艶やかなにまとめていらっしゃいました。そしてプログラムの最後になったのは、静かで繊細なアンダンテ部分と華やかなポロネーズ部分が対比を織り成す《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》でした。アンダンテ・スピアナートではパホレツさんがコンサート冒頭から客席を惹きつけてきた静かで神秘的な音色を、そして大ポロネーズ部分では技巧的なパッセージの隅々まで創り込まれた音楽を楽しむことが出来ました。
パウゼのシリーズとしては珍しくアンコールのないプログラムでしたが、会場では大きな拍手が湧き、パホレツさんはそれに幾度も応えていらっしゃいました。またパホレツさんが日本で演奏してくださる日が待ち遠しいコンサートとなりました。
(A.T.)
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ランチタイムコンサート