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日本ショパンピアノコンクール2015 開催レポート

第1次予選/ 2015年3月16日(月)※前半: No. 1~12

 今年で3回目を迎える、日本ショパン協会主催の日本ショパンピアノコンクール。ワルシャワで開かれるショパン国際コンクールに合わせ、2005年より5年に1度開催されています。2015年度は前回の倍近くに及ぶ50名(うち棄権3名)の若きピアニストたちがエントリーし、洗足学園前田ホールでショパン音楽の熱い競演を繰り広げました。

 第1次予選では、エチュードを2曲、バラード・舟歌・幻想曲・スケルツォの中から1曲の計3曲が演奏されます。出場者は4〜5名毎にグループ分けされ、3月16日・17日の2日間にわたって審査が行われました。

 1日目の最初の出場者は三重野奈緒さんです。エチュードop.10-8、op.10-2、スケルツォ第4番を、清潔感のある軽妙なタッチで演奏されていました。

 2番、三好朝香さんの曲目はエチュードop.10-10、op.25-11とスケルツォ第3番です。イメージをかきたてるような多彩な音色とドラマティックな表現が魅力的な、印象に残るパフォーマンスでした。

 3番の水口真由さんはエチュードop.10-10、op.25-11、スケルツォ第1番を豊かな響きで演奏され、とりわけスケルツォ中間部の温かみある叙情性は光っていました。

 つづいての演奏者は5番の森美由紀さん(4番は棄権)です。曲目はエチュードop.10-8、op.25-5とバラード第3番。生き生きとした明るい音色が印象的な、大変好感のもてる演奏でした。

 6番の守永由香さんはエチュードop.10-11、op.10-5、幻想曲を演奏。中でも幻想曲で聴かれた即興風のアルペジオの美しさ、起伏に富んだ雄弁な表現は特筆すべきものでした。

 7番、村田孝樹さんの曲目はエチュードop.10-1、op.25-5、バラード第1番です。力みのないこなれたテクニックを生かした、すっきりと流麗な演奏でした。

 8番の中平優香さんはエチュードop.10-8、op.25-5、スケルツォ第2番を演奏。思い切りの良い積極的な表現で、作品の魅力を引き出されていました。

 9番の中島英寿さんが演奏されたのはエチュードop.10-1、op.25-10、そしてバラード第3番です。全体を通じてダイナミックさと情熱的な表現が際立っており、特に最初のop.10-1では技術と表現の両面ともに完成度の高い演奏が披露されました。

 10番の中村祥菜さんはエチュードop.10-8、op.10-10と舟歌を演奏。特に素晴らしかったのは舟歌で、ショパンらしいハーモニーの陰翳を美しく引き立たせながら、気品のある成熟した音楽を聴かせてくださいました。

 11番の中村優似さんの曲目はエチュードop.10-5、op.10-7、舟歌です。3曲を通じて音がみずみずしい生命力に満ちており、中でも舟歌でみられた幸福感溢れる表現は大変魅力的でした。

 12番は生井澤日向子さんです。エチュードop.10-1、op. 25-5とバラード第1番を、いずれも洗練された知的な構成力と緻密さをもって美しくまとめられていました。

 演奏されるものすべてが「ショパン」だからこそ、各演奏者の持ち味や表現の方向性が一層くっきりと浮かび上がってくる、日本ショパンピアノコンクール。個性豊かな出場者たちの競演はまだまだ続きます。

(N. J.)


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