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日本ショパンピアノコンクール2015 開催レポート

第1次予選レポート / 2015年3月17日(火)※後半: No. 38~49

 

 第1次予選2日目の後半には、著しくレヴェルの高い演奏が続きました。

 39番の五十嵐薫子さんはエチュードop.10-4、op.10-10、舟歌を演奏。いずれの曲もほとんどミスがなく、細部までよく練り上げられた密度の高い音楽となっていました。

 40番、生熊茜さんの曲目はエチュードop.10-4、op.25-6、スケルツォ第2番です。三度のエチュードの繊細な音色も印象的でしたが、とりわけスケルツォの解釈は隅々まで非常に説得力のある素晴らしいものでした。

 41番の石川武蔵さんが演奏されたのはエチュードop.10-4、op.25-10、バラード第1番です。骨太でスケールの大きいその演奏ぶりからは、すでにヴィルトゥオーゾとしての圧倒的な実力がにじみ出ていました。

 30分間の休憩の後、42番の實川風さんがエチュードop.10-12、op.25-4、スケルツォ第2番を演奏されました。力強さと軽やかさを兼ね備え、音楽の流れを的確につかんだ自由闊達な表現からは、演奏家としての余裕のようなものさえ感じられます。

 43番、上原琢矢さんの曲目はエチュードop.10-1、op.25-6、スケルツォ第4番です。透明感のある音色が非常に魅力的なピアニストで、中でもスケルツォの軽やかなパッセージや詩情あふれる表現は忘れがたいものでした。

 44番の笠松真衣さんが演奏されたのはエチュードop.10-8、op.25-5、バラード第3番です。どの曲もよく準備されており、音楽的に丁寧にまとめられていました。

 45番の加藤大樹さんはエチュードop.10-8、op.25-6、バラード第1番を演奏。技巧的なパッセージの中にも細かい表情の変化が工夫されており、バラードでみせたロマンティックな一面も印象に残りました。

 ここで再び休憩を挟み、いよいよ最終グループです。46番、河野真士さんが選んだ曲目はエチュードop.10-1、op.10-2、スケルツォ第2番。テンポをおさえたその演奏からは河野さんの音楽にかけるひたむきさが伝わってきました。

 47番の小林紗代子さんは、みずみずしくブリリアントなタッチで、エチュードop.10-8、op.25-6、バラード第1番を好演されました。

 48番、昆一成さんの曲目はエチュードop.10-1、op.10-7、バラード第3番です。荒削りながらも物怖じしない開放的な表現は独特の魅力を持つものでした。

 最後の演奏者、49番の近藤愛花さんが取り上げたのはエチュードop.25-11、op.25-6、バラード第2番です。バラード第2番はコンクールでは比較的とりあげられることの少ない作品ですが、近藤さんのエネルギッシュな演奏は、この曲の魅力を十二分に引き出すものとなっていました。

 全演奏の終了後、会場の掲示と日本ショパン協会のウェブサイトで審査結果が発表されました。厳しい選考を経て第2次予選へ進まれることになったのは、以下の12名の方々です。

 中島英寿、中村優似、大橋大河、佐藤元洋、阿見真依子、原嶋唯、五十嵐薫子、生熊茜、石川武蔵、實川風、上原琢矢、加藤大樹(敬称略)

 第2次予選は19日(木)、同じく洗足学園前田ホールにて開催されます。

(N.J.)


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