日本ショパン ピアノコンクール2015へ戻る


日本ショパンピアノコンクール2015 開催レポート

第2次予選レポート / 2015年3月19日(木)10:00〜

 

 3月17日、洗足学園前田ホールにて、日本ショパンコンクールの第2次予選が開催されました。第2次予選では、第1次予選を通過した12名の出場者が、指定のノクターン(もしくは緩徐なエチュード)、ワルツ、ポロネーズから各1作品と、その他の任意の曲による、30〜40分のプログラムを演奏します。第1次予選より演奏時間が長くなり、プログラム構成にも個人のキャラクターがにじみ出ます。午前10時から午後7時までという長時間にわたって、それぞれに聞き応えのある熱演が繰り広げられました。

 本日最初の演奏者は中島英寿さん。曲目はノクターンop.62-2、バラード第4番、ワルツop.42、幻想ポロネーズです。ワルツ以外は全てショパンの後期の作品ですが、中島さんは持ち前のびやかな音楽性を発揮し、良い意味で若々しく前向きなエネルギーに満ちた演奏を聴かせてくださいました。

 次の中村優似さんが演奏されたのは、2つのポロネーズop.26、ワルツop.64-3、ノクターンop.62-2、スケルツォ第4番です。ニュアンスに富んだ多彩な表現、繊細なハーモニーの感覚に基づくしなやかな音楽作りが印象的な、魅力ある演奏でした。

 大橋大河さんは、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、ワルツop.34-1、エチュードop.25-7、舟歌を演奏。実直な構成力とテクニックで、いずれの作品も堂々と弾ききります。中でも、舟歌中盤のドラマティックな盛り上がりは大変迫力がありました。

 佐藤元洋さんの曲目は、ワルツop.34-1、幻想ポロネーズ、ノクターンop.9-3、英雄ポロネーズです。さりげない音色の変化や絶妙なペダリングのセンスは、佐藤さんのアーティストとしての高いポテンシャルを感じさせます。とりわけ幻想ポロネーズやノクターンで聴かれた弱音の魅力は特筆すべきものでした。

 ここで50分間の休憩が入り、13時より午後の部が開始されました。

 阿見真依子さんは、ノクターンop.62-1、ワルツop.42、幻想ポロネーズ、エチュードop.25-11、バラード第1番を演奏されました。全体を通じて成熟した音楽性がうかがわれ、特にノクターンや幻想ポロネーズでのしっとりとしたカンティレーナの美しさは群を抜いていました。音楽的にも技術的にも完成度の高い、プロの演奏でした。

 原嶋唯さんは初期の作品マズルカ風ロンドから始まり、ノクターンop.48-1、ワルツop.42、幻想ポロネーズを演奏。生き生きとしたタッチとリズム感、色彩豊かな音色に、冒頭から一気に引き込まれました。ショパンの音楽のエッセンスを完全に自分のものにしているかのような、ポエジーあふれる素晴らしい演奏でした。

(N.J.)


日本ショパン ピアノコンクール2015へ戻る