ショパン・フェスティバル2日目のランチタイムコンサートは、東京音楽大学ピアノ演奏家コース2年に在学中の近藤愛花さんがご出演されました。今回は、『心躍るショパン』と題された魅力的なプログラムで迎えてくださいました。
たくさんの聴衆で埋め尽くされた客席を前に、爽やかな笑顔で登場された近藤さん。最初に演奏された《ノクターン嬰ハ短調》Op.27-1では、左手の伴奏がアーチを描くように滑らかに弾かれ、グラデーションのような響きが大変美しかったです。
次は、今年のショパン・フェスティバルのメインテーマであるワルツです。《ワルツ嬰ハ短調》Op.64-2、《2つのワルツ》Op.69、そして近藤さんの思い出の曲《ワルツ変ニ長調「子犬」》Op.64-1の4曲を披露されました。それぞれの曲で繊細なアプローチがなされており、作曲当時の背景や心境が感じられるような表情豊かな演奏でした。
《12の練習曲》Op.25からは、第1番変イ長調「エオリアンハープ」、第4番イ短調、第8番変ニ長調、第9番変ト長調「蝶々」、第11番イ短調「木枯らし」を演奏されました。安定感があり、練習曲とは思えないほどの音楽性豊かな演奏でした。中でも、「エオリアンハープ」の透き通った音色による爽やかな表現と「木枯らし」の吹き荒ぶような表現は強く印象に残りました。
最後は大曲を2曲です。《バラード第2番ヘ長調》Op.38では、繊細で温かみのある第1主題と嵐のような第2主題の対比が面白く、《スケルツォ第2番変ロ短調》Op.31では、華やかで輝きのある演奏を展開されました。2曲共に、音楽の流れや曲想の繋がりが滑らかで、物語のように表現されておりました。
鳴り止まない拍手に応えられ、アンコールに《マズルカ
ハ長調》Op.24-2を演奏してくださいました。ショパンの作品に対する深い愛情が感じられた素敵なコンサートとなりました。
(K.S.)